本日の日経平均は 207.82 円高の 29384.52 円で取引を終了した。後場中ごろまでは上昇幅が拡大する場面があったものの、引けにかけて急速に伸び悩む形。国内外の金融機関が多額損失を被った可能性があるとして、一気に警戒感が広がった。
国内で象徴的だったのが、野村 HD(8604)の急落だ。子会社がヘッジファンドとの取引で約 2200 億円の損失を被った可能性があるとして、株価は 16%を超える下落となった。週末、米国では大量のブロック取引が行われており、これはヘッジファンドの強制決済に絡むものとの見方が出ている。「悪影響が広がる」との観測から、証券・銀行株は軒並み下落となった。これが投資家心理を冷やす要因となっている。
日経平均の日足チャートでは、下影陰線が出現。寄り付きで空けた窓を埋めたあとは、しっかりと買いが入っている。順調な上昇相場となっており、先高観に変化はない。現在は上下の窓に囲まれた状態となっているものの、強気相場は継続しているといえよう。
本日は権利付き最終日である。一部で駆け込み的な買いも期待されたが、巨額損失の話が出てきてうやむやになってしまった。明日は権利落ち日ということになり、日経平均では190 円ほど下落すると予想されている。短期的には窓を空けやすくなっており、それをすぐに埋められるのかに注目だ。
また、為替市場では円相場が下落。1ドル=110 円台に乗せる場面もあった。米長期金利の上昇を背景に、金利裁定が働いているようだ。国内輸出関連株には追い風であり、全体相場を押し上げる要因になるだろう。
今後、注意しなければならないのが、この手の金融巨額損失の波及である。リーマンショックのときも、こういったニュースが発端となり、「損失の連鎖」が深刻化した。場合によっては数年タームの泥沼に陥ることになり、そういったリスクも十分に考えておかなければならない。投資家は「買いポジション」を持ちながら、常に素早い行動をとれるようにしておきたい。
<マーケット・ストーリー>
「先生!野村君がおなかが痛いと言っています!」――室内に走る緊張感。そして近くにいた外国人の子供たちも次々と異変を訴える。「もしかしたらこれは、悪性の伝染病かもしれない・・・」
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